ピーター・フィッシャー(イギリス国王エリザベス二世の主治医)の言葉

日本学術会議がホメオパシー否定の根拠としたランセットの論文をスイス政府医療技術評価(HTA)レポートが正式に否定!

の中で、

「しかしよくもまあ、科学者を愕然とさせるようなインチキ論文がランセットに掲載されたものです。それは裏を返せば、通常の審査を経ない特別なルートで力ずくで掲載された論文であることが推測できます。あとはホメオパシー反対派が、この論文をひっさげて日本学術会議のように「ホメオパシーの有効性は科学的に明確に否定されている」と言えばよいのです。なんという仕組みでしょう!」

と書きましたら、被害妄想とのご意見がありました。しかし、ランセット誌には、この論文掲載と同時に、「ホメオパシーの終わり(The end of homeopathy)」というタイトルで論説を掲載しています。しかもこの論説は誰が書いたものかわからないのです。

もしRCT(無作為臨床試験)をこのような方法で評価した下ならば、コクランテストでは不合格になってしまうような、誰がどう見ても不当な方法でホメオパシーを評価した論文を掲載し、その論文をもってホメオパシーを全否定する論説を掲載するというやり方は、異常です。日本学術会議の発表のように最初から仕組まれていたとしか考えられないと思います。

欠陥論文であるランセットの論文を批判したエリザベス女王の主治医であるピーター・フィッシャー氏が『世界の一流有名人がホメオパシーを選ぶ理由』(ホメオパシー出版)の序文を書いています。ここではその序文を紹介します。

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序 文
 本書においてデイナ・アルマン氏は、ホメオパシーを愛用し、ホメオパシーを支持してきた著名人や文化的英雄を驚くほど幅広く紹介し、ホメオパシーの歴史的、地理的な広がりを鮮やかに描き出している。マハトマ・ガンジー、一九九八年のサッカーW杯で優勝に輝いたフランス代表選手、ショパン、シェール、チャールズ・ダーウィン、J・D・ロックフェラー、前ローマ法王ヨハネ・パウロ二世、数世代にわたる英国王室一族、過去一五〇余年間に就任した一一人のアメリカ歴代大統領……。これらはほんの一握りである。なんとそうそうたる顔ぶれだろう。だがホメオパシーは金持ちや有名人だけの聖域ではない。ホメオパシーは庶民のあいだでも広く使われ、現在、インドだけでも訓練を受けたホメオパシー療法家が二〇万人以上もいる。

 しかし、その人気の高さと恒久性にもかかわらず、ホメオパシーはこれまで折に触れて、科学界や医学界の論争において猛攻にさらされ、現在でもその状況は変わっていない。世界屈指の医学誌『ザ・ランセット』は二〇〇五年、無記名の論説で「ホメオパシーの終焉」を宣告した。これを読んだわたしの頭には、マーク・トウェイン(彼もまたホメオパシーの愛用者だった)が送った電報の一文が浮かんだ―「ワタシノ死亡ガタイソウ大ゲサニ報ジラレテイルヨウダガ」

 もちろん、ホメオパシーの恩恵を受けたとして本書に取り上げられている各界の人物たちが、才能豊かで、知的で、自由な精神の持ち主だからといって、それだけで科学的議論を構成するわけではない。しかし「火のないところに煙は立たない」的な議論としては説得力がある。ホメオパシーは極度に希釈した薬を使うことから、「効くわけがない」と揶揄される。だが、もしホメオパシーの効き目が本当に気のせいなのだとしたら、多方面で活躍する卓越した人々が、これほど長期にわたってホメオパシーを信奉するものだろうかと考えると、それほどありえないこととも考えにくい。その間にも、ホメオパシーの現実的かつ有益な治療効果を示す根拠や、そのような効果がもたらされる理由についての科学的解釈は、着実に積み重ねられている。

 この話には、暗い過去も影を落としている。アルマン氏も明らかにしているように、二〇世紀初頭、アメリカのホメオパシーは金や欲の渦のなかでほぼ壊滅状態に追い込まれた。ホメオパシーを教える医学校や医学部は全米各地に二二校あったが、一九一〇年に「フレクスナー・レポート」が公表されたのを機に、そのうちの一九校が閉鎖された―しかも、黒人を対象とした七校の医学部のうち五校、女子の医学部に至っては一校を除いてすべて閉鎖された。その結果残ったのは、人種的にも(白人)、性別的にも(男性)、診療スタイルにおいても均質的な(投薬をベースとする治療)、少数の裕福な医師だった。

 だがホメオパシーの立ち直りの早さは驚異的だった。例えば、一九世紀にオーストリア・ハンガリー帝国が課した禁止令からホメオパシーがいかに返り咲いたかについては、アルマン氏が詳述している通りである。また近年、ホメオパシーはアメリカで力強くカムバックを遂げ、一九九〇年から一九九七年にかけて五〇〇パーセント増という驚愕の使用量を示した。だが歴史は現状を楽観視してはならないと諭している。二〇世紀初頭にホメオパシーを激減させた勢力は消滅したわけではない。ホメオパシー薬に用いられる極めて低濃度の物質が何らかの効能を及ぼし得ることをおよそ理解できない医学界の面々は、依然としてホメオパシーに懐疑的なまなざしを向けている。だが歴史は別のことも教えてくれている――どんなに立派といわれる教授の意見であっても、後世が見いだす新たな知見への案内役としては、たいして当てにならないことを。

 アルマン氏が紹介する多くの偉人がはるか昔から心得ていたことを、ホメオパシーはいつの日か、医療界や科学界にも納得させることになるだろう。ホメオパシーは比類なき可能性を秘めた医術であり科学なのである。
 
 ピーター・フィッシャー
 ロイヤル・ロンドン・ホメオパシー病院臨床部長 イギリス国王エリザベス二世の主治医