アメリカにおけるアロパシー医学 VS ホメオパシー医学の歴史(その2)

1918年のスペインかぜでは、感染者6億人、死者は5000万人と言われていますが、このときのアロパシー治療とホメオパシー治療での死亡率の違いは興味深いです。
熱を解熱剤で下げたり、抗ウイルス薬でウイルスを生きたまま細胞内に閉じ込めたり、抗生物質で免疫を下げることが、インフルエンザでの死亡率を高めているのではないかと思います。

以下『それでもあなたは新型インフルエンザワクチンを打ちますか?』より引用します。

ホメオパシー全盛時代だったアメリカ

 古い話になりますが、スペインかぜが流行した1918年ごろは、アメリカはものすごくホメオパシーが盛んで、一時は、22のホメオパシー医科大学、100以上のホメオパシー病院、1000を超すホメオパシー薬局が存在していました。『大草原の小さな家』にもホメオパシーが登場しますね。しかし、ホメオパシーを脅威に感じた医師たちが、ホメオパシーをたたき潰すためにある団体をつくりました。それがアメリカ医師会です。そしてアメリカ医師会による反ホメオパシーキャンペーンによって、ホメオパシーはたたき潰されて、すべてのホメオパシー医科大学は廃校になったり、アロパシー医学大学にとってかわられました。そして、アメリカからホメオパスの姿が消えてしまいました。本当に悲しいことです。しかし、1918年当時はたくさんのホメオパスがいたのです。ですから、当時多くの患者がホメオパシーを選択していたのです。

 左ページの表のスペインかぜのアメリカでの死亡率を見てください。2万6000人がホメオパシー療法を受けており、そのうち死亡したのはたったの273人です(死亡率1.1%)。これに対し、現代医学の治療を受けた人が2万4000人。そして死んだ人が6768人(死亡率28.2%)。ものすごい倍率で死んでいます。この数値を見たら、いかにホメオパシーが有効か、そして医学的治療がいかに有効でないかがわかるではないですか。ホメオパシーでの死亡率が低いこともすごいのですが、このグラフを見て私が感心したのは、スペインかぜにかかった人の半分以上がホメオパスのところに治療を受けに行ったということです。当時のアメリカでは、ものすごくホメオパシーが広がっていたことがわかります。次の記事を読んでもらうとわかりますが、アスピリンをとって熱を下げようした人の多くが死んでいます。薬をとっても治らないどころか、死ぬ人が多かったわけです。

ホメオパシーを実践した医師たちの証言

 ここで、少々長くなりますが、"HOMEOPATHIC TREATMENT OF INFLUENZA" Sandra J. Perko, Ph.D.1999(『インフルエンザのホメオパシー治療』)から引用します。

 あの大きな破壊力を持つインフルエンザが、また地球をのし歩くのでしょうか? 高性能の科学技術と最新の化学薬品に溢れている今日の時代において、ホメオパシーになにか貢献できることはあるのでしょうか? それでは、1918年のスペインかぜ流行病発生当時に、ホメオパシーがどれだけ活躍したか見てみましょう。

 ホメオパシーの側面:初期200年の図解入り歴史の著者、ジュリアン・ウィンストンに―この劇的な時代の貴重な参考文献を送って下さったことに感謝申し上げます。その歴史的瞬間に、ホメオパシー医たちは歴史上でもっとも過酷な疫病に対して、勇気をもって立ちあがっていました。対症療法の同僚たちを麻痺させてしまった怪物に、恐れも不安も持たずに挑戦したのでした。次に挙げるのは、1920年の「米国ホメオパシー協会誌」に掲載された記事の抜粋で、あの過酷な時期を生き抜いた医師ホメオパスたちの個人的逸話です。

■オハイオ州のデイトンに住むT・A・マカン医師は、1921年の米国ホメオパシー協会の年次総会において、アロパシー療法で治療されたインフルエンザの2万4000件の死亡率は28%を示したのに対し、ホメオパシー的治療法を施した2万6000件の死亡率はわずか1・05%だったと報告しました。

■工場で働く労働者8000人のうち、死亡したのはたった1人でした。患者は薬漬けになって死亡したわけではありません。使用したレメディーは事実上、ジェルセミュームだけでした。私たちは、アスピリンもワクチンも全く使用しませんでした。―フランク・ウイーランド医学博士、シカゴ、イリノイ州

■常習性がないことが、この植物のすばらしい効用のひとつです。―バートン・ハセルテイン医学博士、シカゴ、イリノイ州

■大勢の患者がインフルエンザそのものよりも、ある1つの薬の直接的、または間接的影響で死んでいったのです。誰もがその薬を知っています。それはサリチル酸といいます。アスピリンの歴史は印刷物で出回っています。今日においては、誰もサリチル酸の鎮痛作用の正体を知りません。それは2通りに作用します。まず患者は、倒れるまでアスピリンをとり続け、その間接的結果として肺炎を発症するのです。―フランク・L・ニュートン医学博士、マサチューセッツ州

■私の患者のなかでインフルエンザで死亡した人は1人もいませんでした。肺炎で死亡した患者の死亡率は2・1%でした。昔の同級生にとっての救急薬は、ほとんどアスピリンとキニーネだけで、患者の肺炎死亡率が60%と聞かされるのも珍しくありませんでした。―ダッドリー・A・ウイリアムズ医学博士、プロビデンス、ロードアイランド州

■350件の症例を扱い、死亡者はたった1人でした。その患者は24時間のあいだに100回量のアスピリンを投与され、肺炎の治療が全く放置された状態で、私のところに運び込まれたのです。―コラ・スミス・キング博士、ワシントンD.C.

■リーキャンプで私の患者の死亡率が低かったのは、すべて私がアスピリンの使用を徹底的に避けたことによります。私の患者の死亡率が病院でいちばん低かったので、医務部長に褒め言葉をもらいました。彼は、血液へのアスピリンの影響と私のホメオパシー的治療の成果に注目し、ほかの医師たちにもアスピリンの使用を控えるように指示したため、その後、まもなく病院内の死亡率が著しく低下しました。―カールトン・A・ハークネス医学博士、シカゴ、イリノイ州

■サンフランシスコのハーネマン・ホスピタルでは、ホメオパシーのレメディーが治癒的効果をもたらしていました。その一方、ほかの治療法は、結局、一時しのぎにすぎませんでした。―ローラ・A・ハード医学博士、サンフランシスコ、カリフォルニア州

■コロンビア地区のホメオパシー医師会では、1500件のケースを治療し、そのうち死亡者15人と報告されています。国立ホメオパシー病院での回復率は100%でした。―E・F・サピントン医学博士、フィラデルフィア、ペンシルベニア州

■私は100件の症例を扱い、死亡者は皆無でした。常にホメオパシーのレメディーを使用しました。アスピリンは絶対に処方しませんでした。ある患者は、わたしの古い同僚からの紹介でしたが、アスピリンを多量に投与されていて、私のところにくる前に死んでしまいました。今回の疫病は、私たちのホメオパシーへの信頼をますます深めてくれました。―G・H・ライト医学博士、グレン、メリーランド州

■ドイツのアスピリンは、ドイツの弾丸よりも大勢の人を殺した。―C・J・ロイザックス医学博士、デモイン、アイオワ州

■私は、1889年の疫病とその死亡率に、アセトアニリドが関与したことを覚えています。今度の疫病では、アスピリンとコールタール製剤が病気そのものよりも大勢の患者を殺すことが、私にはよくわかっていました。そして、実際そのとおりになりました。私と同窓の医師が、最近賢くなって、アスピリンが彼の患者を殺していることがわかったので、その使用を止めて、ホメオパシーの療法とほかのさまざまな治療法を用いていると言いにきました。―E・B・フィネリー医学博士、リンカーン、ネブラスカ州

■資料作成のため、私がアンケートを依頼したところ、コネチカットの30人のホメオパシー医がそれに応じてくれました。6602件のうち死亡者は55人で、死亡率は1%未満でした。海上運送の帰路で、私は81人の患者を扱いました。全員回復し、上陸しました。全員がホメオパシーの治療を受けました。ほかの船では帰港の途上で31人の死亡者がでました。―H・R・ロバート医学博士、ダービー、コネチカット州

■ホメオパシーはインフルエンザと肺炎の患者を救いました。コールタール製剤、特にアスピリンは常に悪運をもたらしました。―W・H・ハンシェット医学博士、オマハ、ネブラスカ州

■国際ハーネマン協会をとおして、1万7000件のインフルエンザの症例を収集しましたが、死亡率は4%でした。―G・B・ステーンズ医学博士、ニューヨーク

■私は300件の症例を治療し、死亡者は1人でした。ある優れたホメオパシー医は275件の症例を扱い、死亡者は皆無でした。私は、街の保健衛生官を務めています。古い同窓のひとりが294件の症例を扱い、そのうち死亡者が15人であったと報告しています。古い同窓のレメディーはアスピリンとヨウ化石灰でした。―H・H・クラム医学博士、イサカ、ニューヨーク州

■私は、インフルエンザの症例455件と26件の肺炎を扱い、死亡者は0でした。レメディー、ジェルセミューム、ブライオニア、エイピスなど。―T・G・バーンヒル医学博士、フィンドレイ、オハイオ州

■ホメオパシーのレメディーの重要さが強調された:42人のインフルエンザ患者のうち24人がワクチンを使用していた。そのうち8人が肺炎を発病した。ワクチンは予防薬としては効力がないことが明らかである。―W・L・ラブ医学博士、ブルックリン、ニューヨーク州

■11人の部下が合計で3600件の症例を扱い、死亡者は6人であったと報告が届いている。私自身は、750件を治療し、死亡者が1人であった。主なレメディーは、ジェルセミューム、ブライオニア、ユーパトリュームであった。―F・A・スワートワート医学博士、ワシントンD.C.

■使用したアスピリン、コデイン、ドーベル液が多ければ多いほど、治療に使われるホメオパシーのレメディーもまた多くなり、それだけ回復が遅れました。―ジェイムズ W・ワード医学博士、サンフランシスコ、カリフォルニア州

■キャンプでの肺炎死亡率は25・5%でした。総括の中尉にアスピリン、キニーネ、そしてジギタリスの使用をやめてもらうよう説得したら、死亡率はすぐ15%に落ちました。ほかの薬は全く使用しませんでした。これがひとつの病棟で起きたので、ほかの病棟でも同様の指示が出て、そこでも薬の使用がなくなったら、死亡率が15%に落ちました。―W・A・ピアソン医学博士、フィラデルフィア、ペンシルベニア州

■私は618件の症例を扱い、そのうち5人が死亡しました。そのうちの3人が対症療法の治療を受けていました。―R・A・ファリス医学博士、リッチモンド、バージニア州

■ピッツバーグ病院のある医師が、看護師に彼のやり方よりほかによい治療法を知っているかどうか尋ねた。あまりに死亡者を出していたのである。「ええ、ドクター、アスピリンの使用をやめて、ホメオパシーの薬局でレメディーを買ってきてください」。医師が答えた。「いや、それはホメオパシーじゃないか」「知っているよ。僕が育てた医師がホメオパシーをしていて、死亡者を1人も出していないから」―W・F・エドモントン医学博士、ピッツバーグ、ペンシルベニア州

■インフルエンザが発病してから24時間以内に、優秀なホメオパシー医にみてもらえれば、肺炎が併発されるのは非常にまれだった。大量のアスピリン、サリチル酸そしてアヘン製剤は致命的で、高い死亡率をもたらした。―A・H・グリマー医学博士、シカゴ、イリノイ州

■私は1000人のインフルエンザ患者を治療した。そして、これは私の記録のなかでもすごいことなのだが、死亡者が1人も出なかった。すべての功績はホメオパシーに帰す! それに引き換え、アイルランド―スコティッシュ系アメリカ人の功績はゼロに等しい!―T・A・マッカン医学博士、デイトン、オハイオ州

■ミシガン州、ランシングのマーフィーは、キャンプで325人のインフルエンザ患者を受け持ち、そこでの平均死亡率は20%だったが、彼のホメオパシーの治療法での死亡率はわずか3%にとどまった。―W・H・ウイルソン医学博士、シカゴ、イリノイ州

■1918年の10月、私はおよそ200人のインフルエンザ患者を治療しましたが、死亡者は皆無でした。―W・R・アンドリューズ医学博士、マニントン、ウエストバージニア州

■ノースハンプシャー州、ポーツマスのN・H・ボガー博士は、3331件のインフルエンザの症例を扱い、死亡者はわずか2人でした。また、ミネソタ州、レイクウィルソンのG・G・バスコム博士は300件の症例を治療し、死亡者は0でした。―E・C・プライス医学博士、ボルティモア、メリーランド州

■神の試練の年1919年は、ホメオパシーの治療法がどれほどすばらしく、真実で効果的であるかが証明された年でした。―O・S・ハインス医学博士、フィラデルフィア、ペンシルベニア州

■私はインフルエンザ患者267人を治療し、死亡者を1人も出しませんでした。―A・B・ホウズ医学博士、ブリッジウォーター、サウスダコタ州

■ひと月で65人のインフルエンザ患者を治療し、死亡者を1名出しましたが、それは結核患者でした。―F・C・ソーンヒル医学博士、アルマ、ミシガン州

■モントリオールのある主任薬剤師が、インフルエンザで900人の患者が死んだとT・A・マッカン医師に語った。どのような薬が使用されたのかを尋ねたら、ほかの薬の総計よりもアスピリンがいちばん多く使われているという。指示は3時間ごとに5グレイン錠剤を服用、また重症の場合は、3時間ごとに10グレインを服用という。それ以上の説明は不要であった。孤児院で感染した65人を治療したところ、肺炎等の合併症での死亡は全くなかった。主にブライオニアとジェルセミュームを使用したが、これらのレメディーを使い続けることで、患者はそのまま完治に向かった。―J・G・ディロン医学博士、ファルゴ、ノースダコタ州

■私の経験では、いちばん先に使うのは常にジェルセミュームで、初期の症状には非常に効果がある。―E・B・フッカー医学博士、ハートフォード、コネチカット州

■私の手元にアスピリン1000錠の入った小包が届いた。そのうち994錠が余分であった。私には不要なので、半ダースを人に渡した。私は数種類のレメディーしか使用しない。常にジェルセミュームとブライオニアを処方する。手遅れにならないうちに患者を往診できれば、そして、患者がアスピリンの処方を受けたり、薬局からアスピリンを入手していない限り、今まで死者はほとんど出したことがない。患者がすでにアスピリンを服用している場合は、私が治療しても、肺炎を発病するケースが多い。―J・P・ハフ医学博士、オリーブブランチ、ケンタッキー州

■アスピリンとコールタール製剤は、非常に多くの不必要な死を招く原因となる。どこでも簡単に手に入るアスピリンは薬のなかでもいちばん有害である。すぐに痛みをやわらげるという働きで人を引きつけるが、それはうわべだけでしかない。一部のケースでは、アスピリンは心臓の働きを弱め、生命力を低下させ、軽い症状においての死亡率を高め、回復を遅らせる。すべての症例において、アスピリンは症状を悪化させ、レメディーの選択を難しくしてしまう。アスピリンがどのような病気にも治療効果をもたらさないのは明らかであり、使用を禁じられるべきである。―ガイ・ベッキー・スティアンズ医学博士、ニューヨーク市、ニューヨーク州

■折衷主義の医師1000人を対象に、インフルエンザと肺炎にいちばん効果的な薬はなにかと質問したところ、75%以上が、肺炎にはアコナイトとブライオニアを使用すると答えています。―ロイズ・ブラザーズ、シンシナティ、オハイオ州

■ワシントンD.C.の衛生試験所で異例の実験が行われ、それによると、ワクチンは肺炎に効果がないことが判明した。私たちが使っているレメディーは、ジェルセミューム、ラストックス、ユーパトリュームなど、どれも十分に試されたものばかりで、指示も明確で的確、不変であり、恒久的であることを思うと、彼らのやり方はお粗末としかいえない。―ホメオパシック・レコーダー誌、1920年10月号

■ニューメキシコ州の公衆衛生局で、メキシコ人を対象に、バレチューム・ビリデ、ジェルセミューム、ブライオニアを中心に処方してみたところ、インフルエンザの症状にすばらしい効果をもたらした。ホメオパシーの療法を受けた患者のなかから、死亡者は1人も出なかった。―C・E・フィッシャー医学博士、シカゴ、イリノイ州

■インフルエンザ疫病が発生したときに、なぜ子どもたちのほうが成人よりうまく対処できるかというと、まず一番目に、子どもはかぜを発病すると、すぐに医者に連れて行かれる、二番目は急いで治ることを強要されない、三番目はアスピリンを投与されない、四番目として、ベッドに寝かされる、そして五番目として、適切な治療薬を与えられる、ゆえにうまく切り抜けるのである。―J・P・コブ医学博士、シカゴ

■私が治療したインフルエンザの患者のなかで死亡した人たちは、みな、私が診察する前にアスピリンを飲んでいました。―W・P・ベスト医学博士、インディアナポリス、インディアナ州

■ある心臓はアスピリンに耐えられるかもしれない。また、ほかの心臓は、インフルエンザに耐えられるかもしれない。しかし、アスピリンとインフルエンザに耐えられる心臓というものは存在しない。―テイラー医師、フィラデルフィア、ペンシルベニア州

■ジェルセミュームは心臓に負担をかけず、インフルエンザのあらゆる症状に対して、アスピリンやコールタール製剤よりもはるかに効き目があります。―J・A・ムンク医学博士、ロサンゼルス、カリフォルニア州

■患者の多くがインフルエンザとインフルエンザ肺炎の予防薬として、アスピリンの服用をすすめられていた。ある女性は48時間の間に240回量のアスピリンを服用していた。その後、体に赤い斑点があらわれたため猩紅熱と診断され、病院に送られた。病院(ハイネス・メモリアル)を訪れる患者の多くが、体の中が大量のアスピリン、コデイン、モルヒネ、ジギタリスでいっぱい詰まっていた。関係官庁の職員たちは、私たちの病院で実施されているホメオパシーの治療に感心していた。ホメオパシーのやり方全部に賛成していたわけではないが、ボストンの街は、インフルエンザへのすばらしい治療法をもっていると感じているようであった。―サムエル・クレメント医学博士、ボストン、マサチューセッツ州

■「かぜ」が流行している間、ほとんどすべての患者が、アスピリンを服用していた。彼らのほとんど全員が、アスピリンは痛みを取り除いてくれるし、「体にも害がなく」、すばらしい薬であると信じ込んでいた。結果として、少しの間、不快な症状を我慢したならば、死ななくてもすんだ患者が何千人もいたのである。彼らは毒皿の周りに群がるハエのように、ばたばたと死んで行った―「科学」が彼らの命を「助けよう」と最善を尽くしたにもかかわらず。―A・F・ステーブンズ医学博士、セントルイス、ミズーリ州

■私たちは、陸軍訓練生部隊のなかのインフルエンザ患者300人を治療していたが、死亡者は1人も出なかった。ジェルセミューム、ブライオニア、そしてファーランフォスを中心に治療を進めた。アスピリンの大量投与によって回復が遅れた場合だけ肺炎を併発した。―C・B・ストウファー医学博士、アナーバー、ミシガン州

■最初の「かぜ」疫病で、およそ150人の患者を治療したが、主にジェルセミュームとブライオニアを使用した。数人が肺炎を併発したが、私が最初からみた患者には一度も起こらなかった。私の患者で1人だけが死亡したのは60歳の男性で、ぜんそく持ち、しかもこのミネソタに冬の厳しい季節に派遣されていて、死因は敗血症性肺炎であった。―ウイン・E・レオナルド医学博士、ミネアポリス、ミネソタ州

■私はおよそ50人のインフルエンザ患者を治療しました。そのうち2人が肺炎を併発していて、そのなかの1人が妊婦でした。全員が回復しました。使用した主なレメディーはジェルセミュームとブライオニア、そしてラストックスでした。―ウイム・ボエリック医学博士、サンフランシスコ、カリフォルニア州

■私は、100件以上のインフルエンザと肺炎の症例を扱い、そのうち死亡者は2人でした。そのうちの1人は、私が往診に呼ばれる前に、1週間アスピリンをとり続け、すでに肺炎を起こしていました。また、もう1人はきわめて悪性で、発病時から高熱を出していました。使用したレメディー:ジェルセミューム、ユーパトリューム、ブライオニア、その他。―C・P・ブライアント医学博士、シアトル、ワシントン州

■私は500人ほどの患者を治療しましたが、肺炎を起こしている人がかなり含まれていました。そのうち死亡者は2人でした。アスピリンは絶対使わず、患者にも独断で使わないように指示しました。使用した主なレメディーは、ベラドーナ、ジェルセミューム、スティクタ、そしてのどの症状にはマーキュリアス、ネイチュミュア、ケーライミュアでした。―A・B・パルマー医学博士、シアトル、ワシントン州

 上記に紹介したのは、アメリカのホメオパシー医たちの、スペインかぜ流行時における一部の経験にしかすぎません。そして、世界各国の大勢のホメオパシー医たちもまた、このような体験をしていたにちがいないと信じます。

 イギリスのドロシー・シェファード医師からは、急性流行病におけるホメオパシーのすばらしい成功談が届いています。

 インフルエンザがいまさらなんだと言うのでしょう? 私たちは毎年その疫病の穏やかなタイプを経験しているし、およそ30年ごとにその悪性タイプがやってきて、地球人口の4分の1を襲い、暴れ回り、数千人の命を奪っていくのを知っています。過去の疫病で記憶にあるのは、もちろん1918年の出来事で、戦争に疲れ果てていた人々の数多くがさらわれていきました。ホメオパシー的治療におけるインフルエンザの死亡率が記録に残されているかどうか、私にはわかりません。ここでは、当時私が扱ったインフルエンザのさまざまなケースの治療において、レメディーがどれほど役立ったかを、私の個人的体験から述べるにすぎません。一度の治療で100件以上、ほとんど150件に近い症例を扱いました。金持ちも貧乏人も、老いも若きも、また女性も男性も関係なく、すばらしい成果をあげました。症例は無選別でした。その一部は、最初の診察では深刻な症状―高熱や気管支に関する―を発症していましたが、まもなく症状がやわらいでいきました。そして、熱はほとんどの場合、24時間から48時間後には鎮まりました。患者には熱が平熱に戻った後も、絶対安静を指示し、食事は薄めた果物のジュースだけで、ミルクもお茶も禁じました。結果は、シリーズ全体で1人の死亡者も出ず、それに続く合併症もありませんでした。

 上記に報告されている事例のもっとも卓越している点は、これらのホメオパシー医たちがウイルス性感染症へのアスピリンの致命的な影響を認識している事実です―ウイルスが発見される15年以上も前、そしていまだアスピリンとライ症候群との関連性が明らかにされていない当時においてです!

 これらのホメオパスたちは、疫病の間、病名が特定されずとも、それに右往左往することがありませんした。ただ患者のベッドのそばに心細そうに立ち、頭を掻きながら、自分の患者はいったいなんの病気で死にそうになっているのか、また、それにどうして対処したらいいのかを思いあぐねるなどというのは、彼らのやり方ではなかったのです。彼らには「病気の名前」など必要ではなかったのです。彼らは、素直にホメオパシーの培われた実践に従いました。彼らは症例を綿密にまた的確に把握し、それにしたがって、彼らの前にその時提示されていた症状と適応するレメディーを処方したのです。そして、あとはレメディーと患者自身の持つ生命力に任せたのです。