なぜホメオパシーは嫌われるのか?(その1)――予防接種トンデモ論より引用――

予防接種トンデモ論ドイツ語版出版を記念して、予防接種トンデモ論から一部、ご紹介します。

付録2 寅子先生突撃インタビュー:2011年2月4日

学生:簡単に言うと、免疫ってなんでしょうか?

寅子先生 : 簡単に言うと、免疫というのは、自分ではないもの(細菌やウイルスや花粉などの異物)が体の中に入ってきたとき、「あっちへ行け!」と追い出して体を守る働きのことです。

学生:よく免疫を獲得した証拠として抗体が作られると言われていますが、そこら辺はどうなのですか?

寅子先生 : ひと口に抗体と言いますが、実際は5種類の抗体があって、それぞれ役割が違っているのです。5種類というのは、IgM(アイジーエム)、IgA(アイジーエー)、 IgG(アイジージー)、IgD(アイジーディー)、 IgE(アイジーイー)です。
この中で本当の意味で免疫を獲得した証拠になる抗体というのは、IgA抗体だけじゃないかと思います。IgA抗体は気道や腸管などの粘膜にあり、異物を捕らえ体内へ侵入するのを防ぐ働きをします。異物がどこから体に入るかといったら、普通は粘膜ですから、IgA抗体は免疫機構の最前線で機能しているわけです。
赤ちゃんはまだ免疫が十分発達していないので、お母さんの母乳からIgA抗体を受け取ります。母乳にはきちんと必要な病原体に対するIgA抗体が含まれているんですよ。

学生:では免疫=IgA抗体と考えてよいのですか?

寅子先生:IgA抗体は免疫の一部です。通常は、免疫細胞と言われているキラーT細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球などが主役で、それらで異物への対処ができていれば抗体は必要ではないのです。そのほかに腸内細菌なども免疫の大きな部分を担っています。だから腸内細菌のバランスを崩す抗生物質を安易にとることには疑問を感じています。
学生:異物が粘膜の防御をかいくぐって体内に侵入したときは、どうなるのですか?

寅子先生:まずはキラーT細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球などがそれらを排除しようとします。ただし、ウイルスなどが体内に侵入し爆発的に増殖したり、毒素をもつ細菌が体内で増殖するような状態になると、それらでは追いつかないので、まずはIgM抗体という、抗体(IgG抗体)を大量生産するための金型のような抗体が作られ、次にIgG抗体が大量に作られ、とりあえずウイルスや毒素を無毒化するようにします。でもこれは、異物に目印をつけるだけで、体から排泄されるかどうかはまた別問題なのです。
健康であれば、速やかにウイルスや毒素が排出されて血中の抗体価も減っていきます。IgM抗体やIgG抗体が血中にたくさんあるということは、それだけ異物がたくさんあるということを意味しますから本当はよくないことなのです。

学生:抗体があるのはよいことだと思っていましたが…。

寅子先生:実は予防接種はこのIgM抗体とIgG抗体を何十年もの長期間、血中に存在し続けるように開発されるのです。
学生:えっ、どうしてですか? IgM抗体とIgG抗体が血中に存在するということは、異物があり続けるということでよくないことなんですよね?

寅子先生:たとえば、はしかのワクチンを打つと、はしかウイルスのIgM抗体とIgG抗体が何十年も血中に存続するわけです。そうすると実際にはしかウイルスが体内に侵入してきたとしても、すでに抗体があるのですぐにはしかウイルスに抗体がくっついて不活性化され、はしかウイルスが爆発的に増殖するということはないから、はしかが発症することはなくなるのです。つまりはしかの予防になるわけです。

学生:ふーん。なんだか予防接種って、いいのか悪いのかよくわかりませんね。

寅子先生:そうなんですよ。はしかウイルスのIgM抗体とIgG抗体が血中に何十年も存在するということは、ワクチンに含まれるはしかウイルスもずっと血中に存在しているということなのです。
学生:それって予防って言っているけど、はしかにかかっているようなものじゃないですか?
寅子先生:そうなのです。だから私は予防接種っていうのは、一気に慢性状態をつくることで急性症状が出ないようにしているだけじゃないのかって言っているわけです。で、わざわざ健康を犠牲にして達成される予防であればナンセンスだって言うと、インターネットで由井寅子は予防接種に反対してけしからん!とバリバリ書かれるわけですよ。でも私は別に予防接種に反対していないのですよ。情報提供しているだけなのです。あとは皆さんが一人ひとり情報収集して自分で調べ、考え、最後は自分の責任においてどうするか判断するしかないのです。それに私は製薬会社がワクチンをつくることにも反対していません。製薬会社にはワクチンをつくるつくらないを選択する自由がありますし、そこに口出しするつもりは全くありません。それにワクチンが存在する以上、何らかの役割があると思っているからです。

学生:予防接種にもよいところがあるということですか?

寅子先生:教訓的な観点からですが、まあ、そういうことですね。ただし限られた紙面で説明しても誤解される恐れがありますので、『ホメオパシー子育て日記』のまえがきを読んでいただければと思います。なお、日本ホメオパシー医学協会のホームページにホメオパシー新聞という新聞が不定期で発行されていますが、そこに全文掲載されていますので読んでいただければと思います。またそれ以外でも本当にはしかの急性症状を発症したら死んでしまうような状態の人がいたら、慢性状態にしてしまうというのは、ある意味で正しい選択かもしれません。ですから100%予防接種はダメとは思っていません。

学生:でも血中に異物がある状態というのは、免疫が低下している状態ですよね?

寅子先生 : はい、そのとおりです。実際ワクチンが免疫を低下させるという証拠は山ほどあります。
一方、免疫を向上させる証拠は皆無です。そういう意味で、予防接種というのは免疫を低下させ、異物を血中にとどめて抗体を維持させることで達成される予防方法なのです。

学生:では、本物のはしかにかかった人は、血中にはしかウイルスはいないから抗体もなく、抗体価が低いのですか?

寅子先生:最初に言いましたが、抗体には5種類あって、どの抗体価を調べるかによるのです。本物のはしかにかかって薬で抑圧せずにかかりきった人であれば、血中のIgM抗体価とIgG抗体価は低いはずです。血中にもはやはしかウイルスは存在しないからです。逆に、はしかの予防接種をした人であれば、血中のIgMとIgG抗体価が高いはずです。そして抗体価が高いので免疫がついたと思っているのです。

学生:本物のはしかにかかった人も抗体価が高いと聞いたことがあるんですが…。

寅子先生:それはおそらくIgA抗体価を測定しているのだと思います。最初に5種類の抗体の中で本当の意味で免疫を獲得した証拠になる抗体というのは、IgA抗体だけじゃないかと言いましたね。本物のはしかにかかった人というのはIgA抗体価は高いのです。

学生:IgE抗体についてはどうですか? よくアレルギーとの関連で耳にする抗体ですが?

寅子先生:異物が体内に多ければ多いほど、血中のIgM抗体やIgG抗体が多いという話をしましたが、血中のIgM抗体やIgG抗体が多いということは、それだけ異物が体内に多いということで、これ以上、それと同じ異物を体内に入れないぞとばかりに、体も抗体を作って粘膜や皮膚での見張りを強化します。この粘膜や皮膚での見張りをするのがIgE抗体です。ですからIgE抗体が存在するということは、その抗体と結合する異物が体内にある場合です。IgAも粘膜に存在して見張っていると言いましたが、こちらは体内にその異物がない解決ずみの場合の抗体です。簡単に言うと、未解決の場合はIgE、解決ずみの場合はIgAが粘膜で見張っているということです。
例えば卵を食べても、それは危険な「異物」ではないのですから、健康な人には何も起こりません。しかし卵の未分解の蛋白質が血中にあると話は別です。血中に未分解の卵の蛋白質があってはいけないのです。アミノ酸にまで分解されてはじめて血中に入ってよいのです。もし血中に卵の未分解の蛋白質、あるいは卵の未分解の蛋白質と同じ部分がある蛋白質があると、その卵の未分解の蛋白質と結合するIgE抗体が作られ、気管や腸管の粘膜や皮膚の結合組織で見張っているわけです。そして卵を食べると卵の蛋白質と粘膜にあるIgE抗体が結合し、これ以上その異物を入れてはならないとばかり、一斉に肥満細胞からヒスタミンなどを放出し炎症を引き起こしてしまうのです。これがアレルギーと言われているものの実態です。だからアレルギーの人は、もともと体内にあってはいけないものが体内にあって排泄できない状態にあるのです。そうするとIgE抗体ができて、異物をキャッチできるように見張っているのですね。そして異物をキャッチすると過剰に反応してしまうのです。こうしてアレルギー反応を起こしてしまうのです。
どうしてこんなに過剰反応するのかと思われるかもしれませんが、それだけ未分解の蛋白質などの異物が体内に入るということは異常事態だということなんですね。だからアレルギー反応自体は、もうこれ以上同じ異物を入れないぞという体の正しい反応なのです。
だからアレルギーを抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などで抑圧しても本当の解決にはならないのです。体内から異物を排出し血をきれいにしない限り、根本的な解決にはならないのです。そして異物を排出するには免疫を高めなければなりません。そのためにホメオパシーのレメディーで自己治癒力を触発し、免疫を高めることが助けになるのです。免疫が高まり排出が始まると高熱が出たり、下痢をしたり、汗をかいたり、急性症状が出てきますが、このとき症状を止めてしまうと元のもくあみというわけです。

学生:でもどうして未分解の蛋白質や異物が血中に入ってしまうのですか?

寅子先生:一つには予防接種の害が考えられます。ワクチンに入っている病原体は動物細胞で培養されますから、どうしてもワクチンには動物由来のさまざまな蛋白質が混入してしまいます。どんな動物が使われるかというと、ニワトリ、カエル、サル、ウサギ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジなどです。
またワクチンにはその他さまざまな化学物質が含まれており、それらの大量の異物が一度に皮下注射で体内に直接的に入ってくると、免疫系が大混乱を起こします。そして抗体は作ったものの、異物を排泄することができないという状況が引き起こされます。そして慢性的な炎症反応によって、慢性的に血管が拡張し血管粘膜の透過性が亢進するために、そこから異物が血中に侵入しやすくなります。つまり未分解の蛋白質も血中に侵入しやすくなるというわけです。
そうすると前述したとおり、IgE抗体が作られ、それらが口から入ると炎症反応を引き起こします。さらに、腸での炎症はその特定の異物を入れないための反応ですが、腸粘膜の透過性亢進によって、逆に腸からほかの異物が侵入しやすくなってしまうというリスクがあります。分散させていた警備員を一か所に集中させるとそこ以外の警備が手薄になるのと同じです。ただでさえワクチンで免疫が低下していますから、このリスクはより大きなものとなります。こうして未分解の蛋白質が腸を通して血中に侵入してしまうことがあります。そしてさらに免疫が低下してしまうと同時に、新しい異物に対するIgE抗体が作られ、それによって新たなアレルギーを生じ、さらにほかの未分解の蛋白質や異物が侵入しと坂道を転げるように、いろいろなものに対してアレルギーを示すようなってしまいます。

学生:ほかに原因は考えられますか?

寅子先生:そうですね。腸から異物は多少は体内に侵入していると思いますが、さきほど言った通常の免疫細胞が処理したり、定期的に発熱したりして急性症状が出ることで排泄できている部分があると思います。しかし、その急性症状を薬などで抑圧してしまうと、老廃物や異物などが排泄できない状態になってしまい、体内にそれらがたまってしまいます。
こうして、それらがいつまでも体内に存在し続けるという状況になってしまい、やはりアレルギー体質になっていくということも考えられます。

学生 :つまりアレルギーの原因としては、予防接種と症状の抑圧が考えられるということですね。

寅子先生:はい。もちろんそれだけではなく、たとえば母乳で育てないと母親のIgA抗体を子どもが受け取れないために腸から異物が侵入しやすくなるということもあるでしょうが、私の臨床経験から、その二つが大きな原因と考えられます。

学生:さきほどワクチンが免疫を向上させる証拠は皆無とおっしゃいましたが、ワクチンにはアジュバントと呼ばれる免疫増強剤が入っていると思います。これは免疫を高めているのではないのですか?

寅子先生:健康であればすみやかに異物は排出され、それに伴って抗体も減少していきます。したがって、ワクチンによって抗体を作らせ、それを何十年も永続的に存在させるためには、いかに免疫系を混乱させ免疫力を低下させるかがカギとなります。
そこで、水酸化アルミニウムなどの「アジュバント」と呼ばれる、免疫増強剤が添加されます。「免疫増強剤」と聞くと何か免疫力を向上させるものという印象をもちますが、実際は「抗体を作らせやすくするもの」という意味で、これは「抗体形成=免疫獲得」という間違った前提に基づく名称です。「抗体を作らせやすくするもの」という意味では、それだけ免疫力を低下させるものであり、本来「免疫減退剤」と呼ぶべきものなのです。

学生:「ワクチンの害を知って予防接種は受けたくないが、子どものかかる病気も怖い。どうしたらよいのでしょう」といった質問を受けることがあるのですが…。

寅子先生:それについては、自分自身で判断してもらうしかありません。ただし、予防接種とは何なのか、ということに関する情報をもっていない段階では、正しい判断ができませんので、まずは情報収集することです。その一環として、ぜひ本書のほかに、『それでもあなたは新型インフルエンザワクチンを打ちますか?』もお読みいただければと思います。
次に、得た情報を吟味することです。たとえば、予防接種は病気を予防していると言われていますが、その実態はどうなのか、入手した情報を吟味して正しく理解する必要があります。一方、子どもが病気にかかることの意味は何なのかといったことを理解することも、予防接種の是非を判断するうえでとても重要です。
たとえば、ポリオは今では自然に感染して発症することはほとんどなく、逆に予防接種の副反応としてポリオを発症するケースがほとんどです。これは、ポリオのワクチンが生ワクチンであることと、抗生物質を含むため腸内細菌のバランスを崩し免疫が低下することによるものです。また感染症の流行があったとしても全員がかかるわけではありません。かかるからないかの違いや重症になるかどうかは、結局、免疫力の違いによります。ですから免疫力を高める方向で予防を考えることが健全だと思います。
大事なことは、マスメディアなどで歪められて報道されている健康情報を鵜呑みにせず、そもそも病気とは何なのかといった基本的なことから学んでいただくことが大切だと考えます。そうすることによって、病気の「予防」ということに対する考え方が変わってくるはずであり、予防接種の是非を問う以前に、そもそも病気の「予防」という観念自体が脳裏を去ってしまうということが起こりえないとも限りません。
ともかくも、予防接種を受ける受けないの判断は、人に委ねるのではなく、自身が責任を持って行うことが最も大事です。もちろん、家族内で予防接種に対する見解が異なる場合は、家族内で話し合って決めなければなりません。そのうえで子どもに予防接種を受けさせると決まった場合、大事なことは、予防接種をすることに罪悪感をもたないことです。そして予防接種の害が気になる場合や、万一、予防接種を受けて副反応が出てしまった場合は、ホメオパシーでの対処をすればよいのです。

学生:予防接種に替わるもっと良い方法はありますか?

寅子先生:ホメオパシーにも予防方法はありますので検討する価値があります。これは予防したい感染症の病原体を希釈・振盪したノゾーズと言われるレメディーをとる方法です。たとえば、はしか予防には、はしかウイルスからつくられたレメディーをとります。詳細は拙著『ホメオパシーガイドブック⑥ホメオパシー的予防』をお読みください。
そうしたレメディーをとったからといって、絶対にその感染症にかからないというわけではありません。かかる必要がある場合はかかります。
ホメオパシーで感染症を予防できるかもしれないという考えは、ホメオパシーの創始者ハーネマンにもすでにありました。それは、病原体が感染する原因をあらかじめレメディーで取り除くことができれば、感染を防ぐことができるのではないかというものです。
ホメオパシーでは感染症はかかる要素があるからかかるのであり、もしかかりたくなければ、日々、体に毒物を入れないような食生活、老廃物をため込まない生活習慣を取り入れることです。また、発熱や発疹が出た場合は、薬で抑えず熱や発疹を出しきり、体をきれいな状態にしておくことです。
ちなみにホメオパシー的予防の有効性は、キューバの国家プロジェクトの結果でも証明されています(Bracho G, Varela E, Fernandez R, Ordaz B, Marzoa N,Menendez J, Garcia L, Gilling E, Leyva R, Rufin R, de la Torre R, SolisRL, Batista N, Borrero R, Campa C. Large-scale application of highlydiluted bacteria for Leptospirosis epidemic control. Homeopathy,,2010 ; 99: 156-166)。この論文には、レプトスピラ症を防ぐのにホメオパシー治療が多大な影響があったことが記録されています。
ホメオパシーがキューバに初めて導入されたのは1842年ですが、1992年に再導入されました。1990年代にキューバの保険省は、従来の西洋医学に、ハーブ医学、中医学、ホメオパシー、バイオエネルギー医学などの自然療法や代替医療を統合させ、それ以来、特にホメオパシーの発展に力を注いできています。
毎年、キューバではハリケーンにより地方が洪水に見舞われ、水汚染が高まる時期にレプトスピラ症が流行し、その対策として、2007年まではキューバの保険省は現代医学によるレプトスピラのワクチンを配給していましたが、2007年8月から、3つの州の全人口250万人に、ホメオパシーの予防ノゾーズ(レプトスピラ菌を希釈・振盪してレメディーにしたもの)に精神的な苦悩を和らげるバッチフラワーレメディーを加えたものを投与してきました。2週間の間隔で、1人2回投与(つまり500万回の投与)。費用は現代医学の予防接種の300万米ドルに比べて、たったの20万米ドル。ワクチンが使われていたときも感染者は毎年増加し、何千人という単位でしたが、2007年8月からたった2週間で、感染者の数が0~10人になり、死亡者数は0人。2008年には死亡者数0人、感染者数も毎月10人以下となりました。
このキューバでのワクチンの代わりにホメオパシーのレメディーを使った成果によって、予防医学の歴史が変わるだろうと言われています。